へのへの先生仮免中

やっぱ教授になるまで仮免中で行きます(なれるのか)、神経系の研究がメインです

疲れる仕事は言えない仕事・若手を優遇してもいいけれど・書ける!申請書?・αSynucleinのシャペロンとの結合がパーキンソン病発症のキーメカニズムなのか(Nature論文)

まぁ書けない事も多々ある。

冬は週末が忙しくて大変

今年は配置換えもあって、なれない仕事でちょっと疲れた。

若干T大の後輩連中が羨ましくなる一瞬ではある。

実験時間と研究への集中が確保できるというのは、失われてからはなかなか取り戻すことが出来ない贅沢だったなとおもう。

人を育てるとか、仕事自体には助教のときには感じなかった面白みがあるけど、委員会仕事が死ぬほど多くてなんとも

もう少し先生が増えて欲しい。

とはいえ、学校内の先生方と落ち着いて話をする機会でもある

面白い研究の話も聞けたりした、自分の実験に応用できんかな?

 

そういえば政府が、年額700万円を若手研究者に支援するとか言う話を遠い目で聞く

www.asahi.com

老害覚悟で言えば、40超えたら年寄り扱いで、我々はどんなアイデア出しても、資金がつかないという流れにならないだろうか、不安。

まぁ研究者なんて若いうちが華なのかもしれんが・・・

なにもないより悪くはないだろうが、どうもオーザッパ

ポストドクターを増やそうとしていた頃と同じバラマキに徹した、責任を取らないその場限りの方針にも思われる。

資金がなくなった後に、路頭に迷う人多数で、割と地獄絵図だった

政府はなにか反省をしたんだろうか?

数年で終わってしまうポット湧く制度に踊らされて、維持に苦しんでいる学校も結構あるようだし、ちゃんと長持ちする制度を作って欲しいものだ。

 

研究奨励金をコツコツ書いている。

最近科研費では「本研究の学術的背景、研究課題の核心をなす学術的「問い」」を書けという項目があるのだけど、私はこれは悪くない流れだなとおもう。

この問をブラッシュアップして、簡潔でありながらキャッチーな問いでアピールできれば、全体的に魅力的な申請書が作成できるように思う。

今回は問を考えるのに1~2週間かけたが、割と満足できる題材を見つけた。

これはこの申請書にお金をくれないやつが悪いわ、くらいにおもえてきた。

まぁまだ中身がないんですけどね・・・

 

パーキンソン病関連遺伝子αSynucleinとシャペロンの相互作用がパーキンソン病発症を説明できるかも、という感じの論文がNatureに載っていた。

www.nature.com

タンパク質は正しく折りたたまれる必要があり、その折り紙をする指のようなタンパク質をシャペロンと呼ぶ。

シャペロンの機能不全は当然、未熟なタンパク質を増加させ、凝集に導いたりする。

というのはめっちゃ古くからある、大事なんだけどいまだ病態との解き明かされないテーマ

なんだろう、色んな切り口から解析がなされすぎていて、既に何が新規性なのか切り口がわからない分野でもある。

正直またかよ、と思ったんだけど、Natureに乗るだけの切り口は残されているのか。

ざっくり読んでわかったこととしては

  • αSynucleinのTyr39周辺のN末端領域にシャペロンとの結合領域があり、HSC70、HSP90ファミリーと結合する
  • シャペロンの結合によりαSynucleinの凝集が阻害される
  • 実際に生細胞でかなりの量のαSynucleinはシャペロン結合型として存在(ホントかいな)
  • αSynucleinはフリーで存在するもの、脂質結合型、シャペロン結合型の3つの状態があるが、とくに脂質結合型とシャペロン結合型は排他的な関係にある

*つまりシャペロン結合型が少なくなると、脂質結合型になっていく。

  • シャペロン結合性を阻害すると脂質結合型になり、ミトコンドリア局在を示し、凝集が加速する

*補足すれば、ミトコンドリア度機能障害はパーキンソン病の共通の性質と考えられることから、その要因としてαSynucleinのミトコンドリア結合増加があると予測できる。じゃぁミトコンドリア障害まで見ろよとは思ったが。

  • 翻訳後修飾ではN末端の酸化、Abelson kinaseによるN末端Tyr39リン酸化で、シャペロンとの結合が強く抑制され、N末端のアセチレーション、C末端のリン酸化にはその作用がなかった。

 

うーんパーキンソン病でリン酸化が進むのはC末端じゃなかったっけ?

ああ、これこれ

www.ncbi.nlm.nih.gov

N末端はなんか違う修飾だったっけ?

ニトロ化か、うーんニトロ化・・・

www.ncbi.nlm.nih.gov

面白い仮説の提唱だけど、結構初期的データ・仮説な気がするのは気のせいだろうか

殆んどのデータHEK293とか使って言われてもなぁ、MDCK2はなんで使ってるんだ?

神経細胞じゃないものをモデルとして使う意味はあまり良くわからない。

物理学的解析を使って検証したところに新規性を主張しているってところだとは思うが。

実態との検証のため、パーキンソン病でTyr39のリン酸化とシャペロン結合状態の反比例相関くらい要求しても、レビュアーは怒られないと思うんだ

ないよな?あったらもうしわけない

むしろ今回の論文からは、シャペロン自体の誘導はPDの治療薬として不適ということになるだろう(なぜなら病態と関連する?αSynucleinとは結合できないから)

リン酸化、酸化修飾の除去がキーワードになるのだろう。

というと、シャペロンではなく結局リン酸化過程がターゲットとなるのでそこを同定しなければならない、堂々巡りじゃな。