へのへの先生仮免中

やっぱ教授になるまで仮免中で行きます(なれるのか)、神経系の研究がメインです

大掃除で拾い物・細胞種によりアルツハイマー病態的に変動するタンパク質は変わる~Single cell atlasのデータベースを探索する

大掃除

院生が旗を振って模様替えを始めたが、ほっとくと色々捨てられるので、ちょいちょい様子を見に行って、拾い物をする。

確かにめったに使わないものが多いんだけど、捨てられると一生使えないしなぁ。

好きにやりたかったら、自分の研究室を開いてやればいいのだ、まだ俺がルール。

 

Nature Neurosciにでた、健常者とアルツハイマー病患者の嗅内野の細胞を一個一個発現プロファイルしてデータベース化したっている論文を読む。

www.nature.com

正直統計と手法はワケワカメだが、やってることはナイスで、通常解析では脳を一個の領域として解析せざる負えないが、一方、この手法だと、ミクログリア、アストロサイト、オリゴデンドロサイト、ニューロンなんだかよくわからないなにか(笑)に分離して、それぞれの発現を比べることが可能。

予想したとおりってこともないけど、細胞系譜によって疾患状況がAD関連遺伝子発現に与える影響は違いそう。

とくにADリスク因子APOEは、AD病態で、アストロサイトでは減って、Microgliaでは増えるという真逆の反応

驚いたが、最近色々でている論文の流れには乗りそうな気もする。

取れる細胞で、よくわからないなにかがADで増える

というか患者によって、取れる細胞系がかなり偏ってる感じがして、一定傾向なのこれ?神経系は間違いなく減っている

どうなん?って思いもあるが、そもそもADって異常な細胞分化が起こる病気なのかもしれないしなぁ。

最近読んだこの論文でもミクログリアにおける特異的プロモーターがあり、ADリスク遺伝子はミクログリアにおいて発現が変化する、って話だったが、方向的には一致するといえる。

science.sciencemag.org

個人的にはSupplementary tableがなかなか楽しかった。

新しい細胞系譜のマーカー、AD病態で変化するかもしれないマーカー等々。

Nature neurosci誌の今回の論文はデータベース化されており、簡単に検索できる

adsn.ddnetbio.com

これがめっちゃ楽しい。

色々自分の興味のある遺伝子をうっていくのだ。

ちょっとお遊びで、ADで発現・活性上昇が報告されているAβ産生責任酵素BACE1をいれてみた。

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色が赤く傾けば発現があがっているということなのだが、なんとなくAd患者の細胞が多い、丸をつけた領域で発現があがっている。

ではこれらがどういう細胞系譜を示すのかしらべてみる。

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Information(最初のFigureの右の矢印部分)をCell typeにしたら、丸部分の細胞のデータがとれて、オリゴデンドロサイト、神経細胞においてBACE1の発現が上がってそうなことがわかる。

この画面では量的比較には適さないので、もう少しシンプルに見える方法もある。

上のアイコンをクリックして、Aggregate gene expressionをクリックする

そして遺伝子名を大文字で記入、小文字を入れると認識されない。

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このでーたからはBACE1はオリゴデンドロサイト、神経の発現が多そうってことがわかる。

もちろんAD患者でトータルでどうなるかもでる。

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さて、もう少し細胞特異的な変化が見たい場合

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さて、思ったのに反して神経細胞ではADでBACE1が減少してしまうという結果になってしまった。

たぶんBACE1を強く発現する赤色細胞、全く発現していない灰色細胞がADで二極化しており、灰色細胞の影響のほうが強く出ているのかな?

総じて、神経細胞はADで死んでおり、細胞数も少ない傾向をかんがえると、上の傾向は頷けるかもしれない。

色々遊んだが、むかし遊んでいたLINGO1という細胞がADにおけるオリゴデンドロサイトとしんけいかなグリア系で増えているのが面白かった。

2、3やることは思いついたが、まぁ色々あって流しかな。