へのへの先生仮免中

やっぱ教授になるまで仮免中で行きます(なれるのか)、神経系の研究がメインです

アラキドン酸カスケードを考える

学会を聞きながら実験しながら授業の用意をしながら勉強してたら、ちょっと立っていられないくらいの疲れを感じてしまった。

体力っていうか精神力がもう無いな。

もうちょいでなんとかなりそうな気がするところがなぁ。

久しぶりに中性脂肪が増えると禁止されていたモンスターエナジーに手を出した。

500mlはいらんて・・・でもこれ飲むと動けるんだな。

 

炎症をどうやって説明するかなぁと悩む日々

まぁ僕は薬理の授業あんまり面白くないなと思っていた人だから(T大の授業ってわかりにくいの多かったから)とっつきやすい授業にはしてみたくて色々研究している。

ああ、わかりました!と言われると、研究と違ったやりがいはあるんだ。

結局の所納得が授業中でどれだけできるか、でその学科の印象は大きく変わる、人は理解できるものは好きなものだ。

めんどくさいものにはめんどくさいなりの理由を考えて提示するべきだろう。

あんまり考えたこと無いけど、なんでアラキドン酸カスケードって脂質使うんだろう?

というところから考えて、結局の所

怪我→細胞が壊れる→膜が壊れる→脂質が変化する?

というところで、結局細胞の状態をモニターできるものが脂質シグナルなのかもしれないと定義してみることにした。

さてリポキシゲナーゼによって二重膜から切り出されるアラキドン酸だが、脂質としては4つの二重結合を持つことになる(下記構造式はWikiのもの)

単純に脂質の構造を持つだけでは他の脂質と違いはわかりにくく、伝達物質として働くには脂質とは違う構造の変換が必要なのではないか。

そこがアラキドン酸の性質的に変化しやすいというのがアラキドン酸シグナル(カスケードとも言う)が生まれた原因なのかもしれない。

 

https://bsd.neuroinf.jp/w/images/4/44/Arachidonic_acid.svg

 あまり化学には詳しくないのだが、この構造は次の閉じたプロスタン酸とよばれるシクロな(環状の)構造を形成するのに有利なのではないか。

この配置はぱぱぱとうまく共役を利用できるはず。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/8/82/Prostanoic_acid_Structure.svg/1920px-Prostanoic_acid_Structure.svg.png

実際には官能基や二重鎖がつくことになり、その構造の変化で呼び名と効果が微妙に変わっていくことになる、下記はPGE1である

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/0/07/Prostaglandin_E1.svg/1920px-Prostaglandin_E1.svg.png

この経路はシクロオキシゲナーゼ、すなわちCOXと呼ばれる酵素によって制御される。いわゆるNSAIDSの作用点であり、この経路を阻害するとアラキドン酸カスケードはまるで動かなくなる上流に当たる。

ちなみに更に上流のアラキドン酸を膜から切り出すホスホリパーゼという酵素を阻害するのがコルチコイドホルモン、すなわちステロイドとなる。

NSAIDSとちがって、次項で説明するロイコトリエン産生も阻害できる。

両者は極めて強い抗炎症作用をもつことになる、ステロイドが比較して強い抗炎症作用をもつことになるが、副作用も甚大である。

COXの経路につくられたものはプロスタグランジン何々とよばれる。

もともとは前立腺(Prostate)から見つかったことからこの名前で呼ばれるそうだ。

*一部はトロンボキサン合成酵素によってトロンボキサンA2に変換される。結構プロスタグランジンとの対比があるのが面白いところだ。

ちなみにトロンボキサンになると環がピラン’(6員環の環状の中に酸素が含まれる)になる(下記はトロンボキサンA2)

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/f/f5/Thromboxane_A2.png

 

もう一つの経路が、リポキシゲナーゼ、つまり脂質酸化酵素によってできるロイコトリエンAを基本として、変換が起こっている伝達物群、ロイコトリエン類である。

ロイコ(は白血球Leucocyte)でみつかった、トリエン(3つの共役する共有結合)からきているそうな。

ロイコトリエンA

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/1/15/LeukotrieneA4.png

4つ共有結合があるやんか、と思ったが、共役しない結合はカウントしていない。

いかにも酸化・還元を受けやすそうな形をしているわけで、これらをもとにした代謝物には通常の脂質にはない水酸基(OH)が多く含まれたり、酸化還元を行えるアミノ酸システイン残基(SHを持つ)と結合できたりすることになる。

ロイコトリエンB4

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/7/77/Leukotriene_B4.svg/1920px-Leukotriene_B4.svg.png

 ロイコトリエンC4(グルタチオン(グルタミン、システイングリシンからなるトリペプチド)と結合

 

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/6/64/Leukotriene_C4.svg/1024px-Leukotriene_C4.svg.png

 さらにこの構造が加水分解などをうけて、D4、E4と変換されていくことになる。

特徴としてはロイコトリエンはC4以降はーSー結合を持つことになる。

なるほど、まぁやっぱり構造もわかるほうがおもろい。

C4,D4、E4はシステイン残基を持つことから、システニルロイコトリエンとよばれる、この呼称をするにはもちろん意味があって、これらの構造を認識する受容体があるからである。

CysLT1、CysLT2とよばれる受容体がこれに当たる。

特にCysLT1は気管に多く発現しており、なんとかルカスト、と語尾につく特異的抗体で阻害すると気管支収縮の抑制ができる。

つまり季節性アレルギー、気管支喘息の治療薬となる。

さてここまでホウホウと面白く考えてきたが、これを教える時間と知識はあるだろうか、そして望まれているんだろうか?

手間を掛けても学生は馬耳東風なら悲しい、あまりToo muchを載せてはいけない。

この辺わかってると面白いと思うんだけどな。