へのへの先生仮免中

やっぱ教授になるまで仮免中で行きます(なれるのか)、神経系の研究がメインです

岡山~山口の旅・脳脊髄液の排出機構の新所見・γセクレターゼとミトコンドリアそしてER

うーむ世の中には理不尽がまかり通る事が多くて困る。
昨日は身近な人にそう言う事があってプンプン怒ってしまった。
まぁ外から怒っていてもあんまり役にたたないし、なんか自分に出来ることは無いか考えて見よう。
しかし腹の立つ・・・

実家に帰らせていただいてました。
のんびり釣りでもしようかと思ってましたが意外に暇無し
母が金子みすゞ記念館に行きたいとのたまったので、山口の下関近くまで車を飛ばしました。
最近長く運転していないので、とりあえず岩国(大体中間地点)で一泊
岩国の城下町公園はなかなか風情があって素敵でした
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写真上下逆さまにしたら面白かった
有名なのは錦帯橋という橋。この橋建てるの大変だったみたいです
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わたるのも結構大変ですけど、一回くらい見る価値はある絶景かな
せみしぐれ
 するりとたてる
  錦帯橋
 ははのほはばに
  あわせわたれり
まぁ腰折れですな
金子みすゞ・・・思い入れないのでカット(おい)
結構濃い人生ですね。
全部の詩が好きなわけではないけど、きらきらっとした言葉もあります。
とにかく岡山から山口は結構遠くて疲れました・・・

岡山の美袋と言うところが実家ですが、実家で筍が取れたり、一級河川が家の端(?)を流れているなど色々ワイルドな場所です。
母や丁度来ていた姉貴と、安富牧場に遊びに行ったりしました。
実は親戚の経営です。
もうジェラートが絶品で
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夏みかんヨーグルトっての食べたのですが、もう少し種類食べても良いんじゃないかと思いました、まじ。
馬もいて子供連れに人気です
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・・・失礼
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まぁそんなこんなで帰ってきたら太ってましたわい
また走らないと・・・

なんかサボっているうちに色々論文出てしまって、どうしようか・・・
まぁこんなニュースとか面白かったですよ
脳にはCSFという脳内を満たす液があるのですが、このCSFは脳内から出た廃棄物を多く含みますが、その廃棄物を脳から出して処理する事が必要になります。
このCSFの脳外への廃棄機構というのは今まで良くわかっていなかったブラックボックスなのですが、今回2光子顕微鏡という生きたまま脳組織の分子の動きをトレースできる方法により、どうも脈絡叢の血管に沿った形でアストロサイトが排水溝のような(リンパ管のような?)特別な排出器官を持っている事が明らかになったようです。いままでは毛細血管にじわりと浸透する様なイメージ(大分否定されてはいましたが)だったのでそこは新しい。またCSF中のアルツハイマー病関連物質Aβもこの機構によって効率的にクリアランスを受けることが示されています
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アストロサイトによく発現している水運搬機能に重要なアクアポリン4を欠損させたところ、CSFの移動は滞りクリアランスも低下します。
アクアポリン4とアルツハイマーを関連づける報告も幾つかあり、この機構とアルツハイマー病やその他の神経変性疾患との関わりは注目されます。

もう一本EMBOのアルツハイマー病ではミトコンドリア結合性小胞体ドメインが活性化されているのでは?という報告も個人的には面白かったです。
ERというのは蛋白質や脂質の合成が行われる場所ですが、その一部では他の小器官と機能的連関が強いマイクロドメインがあることが知られています。
核の近くでは核から出てきたmRNAを使ってバンバン蛋白質を合成していますが、細胞膜近辺ではカルシウム濃度の調節などを行っているドメインがあります。
このラボはERの一部にミトコンドリアと相互作用しているドメインがあり、そのドメインにはγセクレターゼ活性が高い(うーん完全に頷ける所ではなかったりしますが)、そしてγセクレターゼ活性がコレステロール・ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリンなどの産生を抑制的に制御している事を報告しています。
特にアルツハイマー病変異を持ったPresenilinやAPP(例数少ないよ-)も同様の表現型を示し、アルツハイマー病ではγセクレターゼの活性が弱まるなどで、ER-ミトコンドリアマイクロドメインの活性が上昇し、脂質産生が上昇しAD発症にいたる(?この辺に?が多いのがこの論文の弱点かなぁ)ような仮説を提唱してます
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個人的には(いろいろ疑問もあるけど)面白いと思ってます。
圧倒的に上の仮説を立てるにはデータ少なすぎですけど。空想力だよなぁ
でも脂質代謝異常は実はADに関与ってのもありかと
が、ERとミトコンドリアが作るマイクロドメインがラフトだ!とか(どちらもラフトライクな構造を持たない小器官と考えられている)、全てのアルツハイマー病変異で同じフェノタイプ!(あんまり実験してないのに)とか言ってる当たりがちょっとアクが強いです。神経でどうなるねん。
矛盾する論文もちらほらありますし

とか思ってたらこの論文掲載されるまでに一年かかっています
そんなこんなのすったもんだのレビュープロセスまでちゃんと掲載されていてちょっと面白かったです。
レビュアーの要求をこなすだけではなく、論文のメインじゃないから!と戦ってるのが面白い
2回Rejectくって、もう投稿しない方が・・・とか言われてるみたいなのをねじ込んでます。
時には戦うことも必要なんだなぁと。
まぁレビュアーが混乱する気持ちもわかるくらい、色々都合の良いところが多いのかな