へのへの先生仮免中

やっぱ教授になるまで仮免中で行きます(なれるのか)、神経系の研究がメインです

もう読めない・リューマチとNotch-γセクレターゼはリューマチのターゲットか?・ニカストリンは成熟神経の機能に重要・ゲノム編集設計の最強ツールCHOPCHOP

J Neurosciは神経変死疾患の論文が多くて、Nature communicationもAD関係が出て、なかなか追いつきません。
まぁのんびり読むべきやつを読んでいこうかと。

J clinical investigationはリューマチとNotchシグナリングという題名のお話があったのでチラチラみてたら、やっぱりγセクレターゼ阻害剤が創薬ターゲットというオチに。
というか皮膚癌とか、色々ありすぎて、どの論文読んで、どの論文読んでないのかイマイチわからなくなってきました。リューマチも昔あったかなぁ。
さてリウマチですが、自己免疫疾患の一種で、免疫細胞が骨になる細胞等関節を攻撃してしまい、炎症反応、ひいては骨の破壊の誘引となる疾患です。
骨というのは、実は再形成と破壊のサイクルから成り立っていて、骨芽細胞による骨の形成と破骨細胞による破壊がバランスよく起こっている。
この骨のリモデリングにNotchという遺伝子が関わっています(というか発生ある所Notchありってくらいあらゆる臓器の形成に関わってるんですが)
関節で炎症が起こると、TNFという炎症関連因子が働き、Notchシグナルを活性化します。
そうすると骨芽細胞の分化が抑制されるなど、サイクルがうまく働かなくなりリューマチとなるって感じか。うん、Notch boneで検索するとたくさん論文引っかかりますな。
まぁそう考えると、出るべき論文が出たってところかな。
後重要なのはNF-KβのシグナルがNotchと協奏して働いている(TNFとともに炎症系のシグナル)というのも重要な知見。
アルツハイマー病の病因であるAβを産生する酵素γセクレターゼはAβの前駆体APPとともに、Notchを切断することが知られていて、このNotch切断が神経発生、骨形成、血管形成に重要であることが知られています。
このNotch切断が悩ましい所で、γセクレターゼ阻害剤の副作用の原因となったりします。
一方で、Notchシグナルの乱れが疾患につながる、今回のリューマチのようなケースも多く、創薬ターゲットとして研究者を惹きつけ続けています。
研究は面白いんだよなー。

Nicastrinコンディショナルノックアウトマウスの論文がPNASに載っていましたけど、いや、まぁPresenilinのケースと同じって事であんまり面白そうじゃないなぁ
いや、意味ないわけじゃないんだけど。それに少し表現型がシビアかな。
神経の初期発生にγセクレターゼの活性が重要ということが知られているのですが、成熟して回路を形成した神経細胞にγセクレターゼは機能しているか?という所も興味を持たれていました。
結構前にγセクレターゼの活性中心でアルツハイマー病の病因遺伝子であるPresenilinをマウス成熟後に発現をノックアウトして、検討されていて、神経細胞の維持、シナプス形成、それに伴う認知記憶機能に重要であることが示唆されていました。
一方でPresenilinもγセクレターゼ活性以外の機能をお持ちなので、本当にγ機能が重要なのか、γセクレターゼ活性に必要な因子の一つ、Nicastrinで同様な実験を行った、というのが今回の研究かな。
まぁほぼ表現型にてるんじゃないか、ということで作業仮説OK。
下流にどんな分子があるか、の方がきょうみあるな。
多分Notch、大枠でNeuregulinかNeuroliginかな。

Pubmed覗いていたら、新しいCRISPR/Cas9の設計ツール、CHOPCHOPってのが載ってました
元論文
WEB tool
いやー思わずCool!って叫んでしまいました。
いままで使ってた中では一番わかり易い気がします(アルゴリズムの是非はわからないので効率がいいかは使ってみないとわからないです)。
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じゃぁ永遠の恋人LRRK2いってみましょう(多分やらないから)
PubmedでHumanのLRRK2を検索
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RNAの数値の小数点手前までが重要(ゲノムだから)
この数値を入れて検索。
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げ、そういえばLRRK2巨大遺伝子だった。エクソン51個とか鬼だな。
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特徴としては、
ターゲットとなる配列がどのエクソンにあるか、上のゲノム地図上で教えてくれる。
有望な配列(他の遺伝子を消す可能性が少ない)の順位付けをしてくれる。
そして、上のゲノムマップ、ちょっと小さくありませんか、ということで図形上でマウスホイールをクルクル動かすとあら不思議
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こんな感じで拡大してくれます。色は有望性を表しています。
さてじゃあRanking1番の配列について詳しく見ます。
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配列等クリックしてみてください。
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こんな感じで、塩基配列のどの部位で切れているのか、制限酵素は近くにあるのか、この部位をPCRで増幅してチェックするためのプライマーのデザインなど色々やってくれるのです。
こいつはクールだ。
でもエクソンしかデザインしてくれないのがやや玉に瑕かなぁ。
とおもったら、実は設定をいじるともっと色々探せます
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最初の設定のAdvanced optionsを選びましょう
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先程はCoding regionで選んでいましたが、Exon内、Splicing point、5’UTR、3’UTR、そして、対象エクソンを選ぶことも可能。
わおいたれりつくせりですなぁ、クールだわ。
やっぱIntronが欲しい気がするけど。
最後にExon1だけさがしてみるか
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こんな感じになります
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うむExon1だけありますな。
満足。