へのへの先生仮免中

やっぱ教授になるまで仮免中で行きます(なれるのか)、神経系の研究がメインです

学校に行きたくない・自由が効かない・論文よみ・低用量のLevetiracetamは初期認知機能低下を改善した・BACE1はShwann細胞でも重要(神経損傷の新機構)・アシュワガンダのAD治験始まる

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悲しい。
休みたいけど、休みには学校に行ってる恐ろしさ。
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風邪を引いたらこれくらいやりそうだ。

だいたい批判めいた事をいうと自分はどうなのってことにはなる。
自分のポスターの欠点を指摘されてちょっと恥ずかしくなってしまった。
免疫染色は大きくするべきやった。
データー間引くべきだったんだけど、面倒になったのは否めない。
と思いながら修正を加えない自分がいちばんアカンけど。
一応訂正案を考えたし、多分締め切りに間に合うんだけど、検閲の手間を考えて面倒になってしまった。
まぁつくづく本当は自分オリジナルの研究をもっと進めんとイカンよね、という気分にはなった。

先週からずっと低気圧だったせいか、かなりの頭痛に悩まされていたのだけど、ここ数日晴れ晴れとして気分が上向いてきた。ひゃっはー(むしろ大丈夫か)
ずっとうまくいかなかった免疫沈降もまた動き出したし、試薬も揃った、ジッチャンの名にかけて、この研究はもうおわらすぞ!と思った僕は、論文を雑誌の編集者に進めるCover letterの作成を始めました。
これ僕が書くべきか、悩ましいところだけど、たたき台がある方が多分直しやすいだろう。
俺の論文はこんなにすごいんやで-ってアピールをするんですが、読む気が出るくらいの短さできっちり書くってのは難しいものですな。

弟子が一人つくことになって、どうしようかなぁと思ったけど、自分を変えられるわけもなく、あいも変わらずみっちり論文を読む所から始めることにした。
病的なまでに聞きたがりやな私は、論文よみをやると最初のうちは自分の時間がかなり食いつぶされてしまうんだけど、結局質問をする力と答える力って一番研究に重要だからなぁ。
最初の年頑張って、一人ミニヘノヘノを作ったら、次の年はある程度次の弟子を任せて楽ができるだろうという算段はある、あるが、まぁそれもなかなかうまく行くことばかりではない。
師と弟子の相性ってのはある、どうなんだろうな、彼にあってるかどうかわからん。
それに、たまに質問しすぎて、骨が弱くなって骨折してしまうような弟子もいるのだ。
ストレスでカルシウム流出。誰とはいわんが。

大体自分の理想の研究者像ってのが自分とはわりとかけ離れた存在であったりする。
飲み会で、同僚と話す機会があったのだけど、社交性が高く、共同研究者をバンバン見つけ、何人もの弟子を指導していく、あ、こんな研究者になりたかったって人がいたりした。
こうはなりたいなぁと思うから、飲み会には顔を出すようにしているけど、未だに見知らぬ人と会話するコツがつかめぬ。
うぬぬ、共同研究者ってどうやって捕まえればいいんだ?罠でも仕掛ければいいのかなぁ。

さてサイエンスネタ。
さいえんすねた、あります
とたまには叫んでみようか。
まぁこのネタは鉄板
てんかん薬として使用されているLevitracetramの低用量の使用はアルツハイマー前駆症状と言われる軽度の認知障害(Mild cognitive impairment)患者の認知機能を改善するとしたPhase2研究結果が論文にされておりました。
背景としては、アルツハイマー病の発症原因として、神経細胞の過剰な活性化があるのではないかという仮説があります。
この現象は眠りの質が悪くなる事などにも現れているようで、不眠がアルツハイマーの前駆症状都の報告もあります。
さてそんな神経の過剰な活動を、Levetiracetamで抑えられるという報告がアルツハイマー病モデルマウス前臨床的な研究で報告されており、今回比較的人数をつかった臨床試験でも有望な結果が出たということで、仮説の証明+有望な創薬ターゲットということで注目です。
興味は、Levetiractamは初期的なADにしかきかないのか?それとも後期にも効くのか
もしかなり症状が進んだADにも有効であれば非常に画期的なんですが。
まぁ悪い癖でLevetiracetamって手に入るのかなぁってしらべたら、何とかなりそうではあった。おもろい。

もう一つ、アルツハイマー病関連酵素βセクレターゼ(BACE1)は、神経の周りを囲む髄鞘の形成に関与して、神経伝達の効率を上げる作用があります。
このBACE1の機能は神経細胞においてNeuregulin1と呼ばれる基質を切断し、切られた切り株が髄鞘を形成する前駆細胞であるShwan細胞などに発現するErbBファミリーと結合し、細胞間シグナルを形成することで、神経の周りにぐるっと髄鞘が巻かれると考えられています。
ところがBACE1活性を欠損させたShwan細胞を、神経損傷を起こした野生型マウスの病変部位に移植した所、BACE1活性を欠損したShwan細胞による髄鞘形成の効率がオチてしまい、今まで考えられていなかったのですが、Shwan細胞のBACE1活性も重要であることがわかったそうです。
どうも神経細胞特異に発現されると考えられていたNRG1も、神経損傷というストレスによりShwann細胞に発現が誘導されるケースがあるとのことです。
さて、さて、まぁ確かに誘導されてるんですけど、べつにShwannの基質はNRG1で無くてもいいんじゃね、って気もします。
他にもJaggidとかDeltaとか、Shwann細胞に発現してそうなBACE1基質もあり、この辺はやっても面白そうな気がします。
この前のPS1の変異が機能ロスだったNeuronのお話だったり、このBACE1の話だったり、もう少し神経細胞以外ではたらく酵素達の研究をしてもよいのかもしれないと思うのでした。
よし、あしたからLRRK2やるわ、ってLRRK2はもう神経以外にシフトしてる人がいるから遅いな。

もうマヂ無理、あたし眠い
とか言いたいんですけど、無視できないニュースが、アシュワガンダから取った抽出物でアルツハイマー病の治験を始めるそうです。

さて、この話自体はちょっと前に聞いたことあったけど、わりとながしてた。
インドの若返りの薬としてアシュワガンダという植物からとった果実があるそうだ。
この抽出物を投与した結果、AD、やPDの動物モデルで改善が見られるとのこと。
どうもAbeta的な凝集物を溶かす作用があるみたいな事を書いてあったり、肝臓で機能してAbe-taの抹消での分解を促進したり(PNAS)、まだきっちり薬剤としての作用点が決まってない気もする。
でもこういう昔からの薬剤でADが治るかも、って話は面白いと思う。