へのへの先生仮免中

やっぱ教授になるまで仮免中で行きます(なれるのか)、神経系の研究がメインです

ポンコツクエストは癒し・もう直せない・TDP43の生理的機能はAbnormal splicingの抑制にあり?・パーキンソン病にはミトコンドリア機能改善薬が有効?

まぁたまに魔がさすということはある。
ポンコツクエストという番組を一気見してしまった。
人生は素敵に無駄なことでなりたっていますな。
イメージ 1
え、もう二十三話見終わってしまったのか、せつない(色々な意味で)

色々一日暦がずれていて、今日で実験終了してお盆に入る予定が、実はまだ一日あった事実。
細胞継代してしまい何もやることナッシング。
早く帰ってやることと言ったらポンコツエストを見るくらいで。
ということで、論文の手直しをしました。
まぁ直すところは何回読んでも出てくるんですが、もうたぶん直したいところを直しても、いい英文になるとは限らなかったりします。
自分一人で自分の文章ひねっても限界があるんですよね。
後はFigureでもひねって、早期に投稿したいものだ。

サイエンスネタ、さてScienceに側索性筋萎縮症(ALS)において凝集体として蓄積するTDP43の正常機能がわかったという論文が出ておりましたな。
もともと、凝集体ができることが悪いのか、それとも単なる防御的役割なのかというのは神経変性疾患の永遠なテーマであったりはします。
TDP43やFUSといったタンパク質はタンパク質の鋳型であるmRNAを形成するのに重要な役割をもつとされています。
じつはmRNAの鋳型であるDNAには一見タンパク質をコードしない領域がかなりの部分含まれており、それをサクサクといる部分だけ切り出す、そんな機構がスプライシングであります。
スプライシングのされ方が変わりますとコードされるタンパク質が多くなったり少なくなったりして、同じ遺伝子から違う機能をもったタンパク質を発現することがかのうとなり、たとえば臓器ごとのタンパク質の機能の違いになったりするので、この機構はかなり重要です。
このスプライシングという機構はわりと法則があって行われていると考えられていたのですが、じつはTDP43はこの法則にそわないスプライシングが起こるのを防ぐ防御的な機能をもっているようです。
こういう余計なスプライシングでできるエキソン(mRNAとしてスプライシングを受ける領域)Crypticexonというのですが、TDP43が機能しなくなると、Abnormaなスプライシングが起こってしまい、平たく言うと変なmRNAがたくさんできてしまう。
へんなmRNA は不安定だったりしてうまくたんぱく質を発現できない。
こういうCryotic exonのスプライシングを抑制すると、細胞毒性が出にくくなるので、ALSの神経変性疾患にこのCryptic exonの出現がかかわっている可能性があります。
うーんオルタナティブスプライシングが変化するというのは昔からお話があったと思うんですが、じつはスプライシングの亢進ではなく抑制だったというのがみそなのかなぁ。
こういうオルタナティブスプライシングを直すっていうストラテジー筋ジストロフィーが有名なんですが、最近薬剤の効果はオルタナティブスプライシングの是正ではなかった的論文がなかったかなぁ。

パーキンソン病の病因遺伝子LRRK2のキナーゼ活性を高める変異を持った患者を対象にして行われた研究で有効な薬剤が発表されたらしい。
Ursodeocycholic acid(UDCA)とかいうらしい。
ミトコンドリアスタビライザーっぽい。
このストラテジーはDimebonで懲りたかと思ってたけど、まぁ効く薬剤があるのも道理かなぁ。
LRRK2とミトコンドリアって機能連関は証明されていたかしら、まぁPDは概してミトコンドリア毒性が強そうではある。
マイトファジーあたりがキーなのかな。