へのへの先生仮免中

やっぱ教授になるまで仮免中で行きます(なれるのか)、神経系の研究がメインです

あらあらと嵐は荒々しく・竹林は侵食する・目がちかちか・薬の名は・リバースジェネティクスとはなんぞ?・リポフスチンと前頭葉型認知症

あらあらし
 桜地に落ち
  霰跳ね
あらあらしでトリプルミーニングすごいんじゃね、とか風呂場で唸るのであった。
何者や、天才俳諧師でないことは確かだが。
まぁなかなか修羅場であった、運転をしていたら、世界が真っ白になって、なかなかの大きさの霰(雹?)が降ってきた。
東京ではなかなか見られない現象だが、O県にきてから二回か3回目、まぁ田舎だしのう。
木に残っていた花ももはや終わりぬ、ひとえに風の前の塵に同じ

タケノコ狩りを敢行したが、前の日も寒かったので、3本くらいしか見つからなかった。
我が家の竹林は、隣の果樹園(永遠の予定地)にどんどん侵食している。
私がいなくなったら、どんどん竹林ばかりになりかねないですな。
竹林は
 はるか彼方を のぞみつつ
  今年はここまで 伸ばすタケノコ

今日は文字通り一日中顕微鏡の前に座って、論文のFigureにつかうベストショットを検索するのであった。
そんなの当たり前に撮れるでしょと言われそうだけど、文句のつかないショットを撮るのが結構難しい。
目が痛いわ。昔は一日1万細胞を眺めたこの私が、老いたなトキ
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これじゃない。こういうネタをふってると、そろそろやばいやつ扱いされてそうだなぁ。
ちょっと苦手なとこもあったけど、わが研究室の顕微鏡の使い方は大分分かってきた気がする。

薬理学も名著、New 薬理学が第7版がでて(しまい)、だいぶ様変わりしている。
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パーキンソン病薬もようこそイストラデフェリン(アデノシンA2A拮抗薬)が収載されていたり、感慨深い。
協和発酵キリンが長い間開発していたのを覚えている。
まぁ、それなりに知識を持って読むと色々かゆいところに手が届く名著なんだけど、興味がないと味気はない。
個人的には、薬の開発にまつわるエピソードが好きで、なぜ人体が病気になって、それをどう仮説を立て、そして直す糸口を見つけていくか、という道筋をたどるのが好きである。ロマンですな、ロマン。
そういや関係ないけど、海の子ロマンって童話知ってる人いる?マイナーで打ち切り感のあるラストやけど、さすが家なき子の作者、なかなか楽しい放浪譚です。
話がそれた、まぁ歴史は薬理学ではないか。
最近、仁木一郎先生の本を借りてきて、わーいと読んでいる。楽しい。
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炭酸リチウムの発見が全くの偶然(今でもなぜ躁病に効くのか結論が出ていない)だったとか、面白い。
味気ないような名前を持った薬物はただ昔からそこにあったわけではなく、熱き魂を持った研究者たちの99パーセントの努力と1%のひらめきの産物なのだ。
こういう本を読むと、いつか僕だってやってやる!とアンビシャスな気分になれるわけです。
図書館で借りたのですが、面白いので買ってしまいましたわい。

ひらめき、ときめき、サイエンス♡
潤いをもとめてサイエンスネタを始めようかと思うが、あまりの不気味さにひくのであった。
リリカルマジカルるるるるるる位の勢いで言われても困ろう。
ところが、学術振興会がまじめにやってるプロジェクト名なんだな、これが。
まぁそれはどうでもよかったりする、脱線をおそれない、最後までたどり着けた人だけが、サイエンスネタをみられるのだ・・・

そんな耐える価値があるのか?
さて、遺伝子欠損体を作り、その遺伝子の機能を探る、というのがいわばフォワードジェネティクスとすると、リバースジェネティクスとはなんじゃろほい、というお話になる。
これはパキスタンで行われた研究で、10000人強の人のゲノム解析を行い、一人以上が持つ、機能欠損変異と思われる変異を同定し、何らかの表現型が表れているか解析を行うという方法で、これがいわばリバースジェネティクス、になるらしい。
大体は疾患を引き金として、どのような遺伝子変異があるのか、探す、という形がとられることが多いが、今回の手法をとることにより、疾患を引き起こすまでに至らない、微細な変化の原因となる遺伝子、その機能がわかる可能性がある。
面白い。日本人もやってみるべきかも、と思ったのだが、これがうまくいくのはパキスタンならではらしく、どうも近親婚が多いため、ゲノムの二コピー(母親由来と父親由来がある)に変異が入っている可能性が高いらしい。

なんかプログラニュリンのニュースを目の端で拾った記憶を思い出した、なんだったっけ。
ああ、サイエンストランスネーショナルメディシンやね。
さて、これはうちの大学で読めない論文の一つ。
ああ、そういえばプログラニュリン欠損は神経セロイドリポフスチン症を引き起こすんだっけ。ヒトはわすれっぽいものだな。
疾患の中でリポフスチンという自家蛍光を発する色素が沈着するものがあるが、それはリソソームの機能不全によるといわれている。老化でもたまってくるのでリソソーム機能の指標ともいえる。
これが神経で顕著に起こるものを神経セロイドリポフスチン症というわけで、その原因遺伝子の一つにプログラニュリンがある。
じつはこのプログラニュリンは前頭葉認知症と呼ばれる疾患の原因遺伝子でもあり、今回FTDにもリポフスチンがあることが分かったとの事。
ふーん、だけど、今までやってなかったなんてことがあるんやろか。
実は、どの神経変性疾患もそうなんだけど、FTDとリソソーム機能というのは強い相関があるだろうと考えられている。
FTDの他の危険変異としてTMEM106BCHMP2BなんかもLysosome機能不全でFTDを起こすことが考えられている。
TMEM106BなんかはまともにProgaranulinのパスウエイに乗っていることによってリポフスチンを増やすみたい。
さてリソソーム機能低下が重要でリポフスチン蓄積は結果なのか?その辺がきになるところかも。
FTDと神経セロイドリポフスチン症の強い相関もわかったので、ほかの原因遺伝子について機能がかぶるのか、その辺も面白そうですな。