へのへの先生仮免中

やっぱ教授になるまで仮免中で行きます(なれるのか)、神経系の研究がメインです

面白い少年小説Wonder・面白い漫画群青のマグメル・APOEはタウ病変をひどくしてミクログリアの機能を調節して脳内耐糖能を変化させる

授業準備に薬理書を読む日々だけど、読んだらわかるとか思ってるところが悪いところな気もする。
この前心理学者が授業をどのように組み立てるか、という講演を聞いて非常に面白かった。
まぁつまりは面白い、とおもってもらえるようにしたいわけだが、その場合はポイントをある程度絞らなければならない。
授業的には、どこも大事に思えて困る、メリハリってどうつけるかなぁ。

久々に少年文学?に手を出した。
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うーん、うまく言えないけど非常によくできたストーリーでかなり引き込まれた。
エレファントマンという映画を思い出した、こちらはジョゼフ・メリックというプロテウス症候群患者の話で、かなり悲痛な話ではあるがテーマは似ているか。
この病気はTCOF1遺伝子に変異を持つ場合、発生異常、とくに顔の形成に大きな障害ができる目の位置の異常、口蓋裂などを特徴とし、主人公は大きな形成手術を経験しているが、やはり知らない人、特に子供が見るとびっくりして泣き出すような顔ではある。
そんな主人公が普通の学校に通って、というお話
主人公は大まかには前向きというのが、この手のお話では読みやすいところかも。
どちらかというと、周りの登場人物にスポットが当てられており、それぞれの感情であったり、思いが心に迫ってくる、本当によくできたストーリーだと思う
まぁでも主人公を受け入れることができないクラスメート、その母親の気持ちも本当はわかるんだけど。
自分のよくできた世界に、ある程度折れなければならない異分子が入ってくるのは難しいシチュエーションではないか。
普通の学校なのだから平等であるべきだけど、寛容でもあるべきである
その境界はとても難しい、自分の世界を守りたいということはそこまで悪い事だろうか?

違ったベクトルだけど、スターガールをなぜか思い出した。
多分、理解されないというより、ヒトを理解できない人の孤独の方が共感するかな、Wonderの主人公はコミュ力あるから。

別に漫画ばかり読んでいるわけでもないのだが・・・結構読んでるのか、まぁ趣味でいけるのだろうか。
こんな漫画を読みました。
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中国の作家による少年漫画、The王道、かなり痛快で面白い。
下敷きになった日本の漫画が透けて見えないこともないけど、あまり気にならないかな。
設定がかなり複雑で、いまだ把握できないが、ええいまだ見ぬ強敵を早く出さぬか。

世の中は思ったよりAPOEを研究する人であふれていた。
〇APOEε4はタウの凝集を亢進する
これはNature
アルツハイマー病とは別の認知症の一つ前頭葉認知症(FTD)というのがあって、その原因遺伝子の一つはタウタンパク質である。
その変異はタウの細胞内凝集を促進しており、アルツハイマー病でも見られる神経原線維変化を形成して、神経細胞が死んでいく。
アルツハイマー病ではその病変は海馬など側頭葉を中心とするのに対して、FTDは前頭葉を中心とし、そのためFTDでは性格の変化、幻覚など、すこしADとは違った表現型を示す。
さてAPOEとFTDは何か関連するのかな?としらべてみると、実はFTDと病因遺伝子がかぶる病気である筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者が、FTDをも発症するリスクをAPOEのε4(ADの最強の遺伝子リスク)がたかめるという論文があるようだ。
タウよりはTDP43、FUSの方がALSとは関係するようなので、あまり関係は無いかもしれないが・・・
ミクログリアはキーワードかな。

と思ったらImmunityというあまり読まない雑誌にまたAPE論文である。
これはDAM(病態依存的Microglia)の流れをくむのかな?
炎症反応によって活性化されたミクログリアで増えるAPOEというのはどうもあまり好ましくないようだ。
ミクログリアには静的なPhaseと細胞障害的なPhaseとがある。
Microglia特異的発現を示し、多くの神経変性疾患に関与することが知れれている、おそらく環境感知レセプターであるTREM2は二つのPhaseの転換にかかわることが、最近網羅的解析とともに報告されている。
このMicrogliaの活性化にはAPOEが関与していることも報告されていたが、今回の論文はその効果を後押ししているのかもしれない。
TREM2はAPOEと結合する因子であることも報告されていたが、今回はその結合がミクログリアの機能的分化に重要であるようだ

これで終わった?そうもいかない。
どうもADの最大リスクファクターであるAPOEのε4は糖代謝も悪化させるそうな。
うへーいおなか一杯。
実はいわゆる成人病というのはADの環境リスクであることも知られている。
どうもε4を持っていると、ADかつ糖尿病という人が増えるそうで、APOEに脳内の糖代謝を制御する因子があるのではないか?ということらしい。
そこでマウスのAPOEをヒト型(ε3、ε4)に変換した遺伝子改変マウスを用い、耐糖能をしらべるのであった。
すると、22か月齢(中年期?)マウスでε4のみ、脳内限定で耐糖能の低下が確認されて、高脂質食を食べさせるなどするとその傾向がひどくなるようだ。
今回はADモデルマウスではないが、APOE4は年を取ると凝集が進んでいき、エンドソームに蓄積することにより輸送異常をきたし、本当は細胞表面にいるべきインシュリン受容体(APOE4と相互作用することが本論文で示されている)がトラップされる、というのが作業仮説。
ADモデルでどうなるんだ?とはおもったけど、脳内糖代謝の変化とADという関係では面白いとおもった。
エンドソーム阻害あたりはほんまかな、とは思ったが、まぁエンドソーム輸送異常は流行り