へのへの先生仮免中

やっぱ教授になるまで仮免中で行きます(なれるのか)、神経系の研究がメインです

サイエンスネタばかりです・新薬開発の古強者・LRRK2の毒性はキナーゼ活性にアラず・TRAF6とPresenilin1活性

まぁちょっと精神的に参ることがあって、げんなりしてます。

さて少し元気出しましょうか。
製薬業界というのは開発時間が非常に長くかかる仕事で、え、この薬まだ開発してたの?ってのが結構多いです。
特許の期限も決まってますから、薬で利益を出すのもなかなか難しい。
まぁ揶揄しているわけではないのですが、富山化学の切り札、T-817MAという薬が、全米最大のアルツハイマー認知症の研究機関Alzheimer's Disease Cooperative Stud (ADCS)と組んで大々的に第Ⅱ相試験をやるってニュースをみててそんなことを思いました。
僕が卒業したころから開発中でしたから、日進月歩の反対はなんやろ、まぁでもポシャらないで頑張って続けるところは日本の企業のいいところかもしれません(悪い所でもあると思うけど)
第一相試験始めるってニュースが2005年ですからねぇ。薬の開発ってのは難しいもんです。
なんか前にも第二相に入ったニュースがあったなぁとおもったら、2007年から始めてるんですね。
よく分からないんですが、第二相で良好な結果がでたとニュースリリースにあるのですが、そしたら第三相に進めばええんやないかしら、そんな事を思ったりもしました。
ADCSと組んでもっとフィジブルなデータが欲しいということかな、結構な量の化合物が第三相で消えてるしなぁ。
T-817MAはなかなか面白い化合物で、神経細胞の細胞死抑制、突起伸長などの効果を持っている薬剤です。
BDNFみたいなもんか
神経細胞が死んでいく中期から後期のアルツハイマー病にはこういう薬の方が効果があるのかもしれません。

僕のなかで永遠の開発中というレッテルをはってた薬の一つにKW6002(イストラデフィリン))という協和発酵キリンの抗パーキンソン病薬があったのですが、じつは去年めでたく国内で承認されて販売されてますな。
これは私が大学院時代から知っている薬で、その頃生まれた同期の子の子供はもう中学生、俺も老けたなぁ。
絶対無理やろと失礼なこと思ってたんですが(だって類似化合物開発中止になったし)、執念ですな。
国内で承認され、もう一度海外に挑戦するみたいです。
FDAに一度不承認されていますが、多くの企業に導出され、開発も続いているということは捨てがたいベネフィットがあると思われます。
効能としては単剤投与でなく、ドパミン投与時の副作用や、効き目の日内変動を安定化するなどの効果があるとのことです。

そうかといえばT社の星、2型糖尿病治療薬が年末流星のごとく落ちて行きました、GPR40という新規ターゲットでみんな注目してたんですが。
もっと粘らないの?って声もそこかしこで聞くのですが、まぁどちらがいいかわからんわな、副作用もあるみたいだし。

さて共局在の方はまぁ読んだんですが、キリがいいところまで読もうとおもったので明日にします。
まさかのPCC復権か。二転三転するのです(ミステリー小説じゃないぞ)

そういえばパーキンソン病病因遺伝子の病因遺伝子であるLRRK2は変異によりキナーゼ活性が上昇し、そのことが神経毒性の原因と考えられているのですが、ちゃうんや、LRRK2がたくさんあると毒性があるんや!
って記事がAlzforumに載ってたんで、まぁ読んでました。
まぁ、この実験系でStrictにLRRK2毒性がキナーゼ活性や無いっていうのはむずいよなぁ、って思って読んでたんですが、もう一つのパーキンソン病病因遺伝子であるαSynucleinがLRRK2の上流にあって、Synucleinを減らすとLRRK2発現が減ると共に、毒性が減少するってあたりは、結構面白い気がしました。
どちらもオートファジーのキー遺伝子っていう位置づけですな。
そやけど、なんでドパミン神経ばっかやられるんやろね。

Science signalingにTRAF6というタンパク質がγセクレターゼの酵素活性中心であるPresenilin1を活性化する!
という論文が出てるらしく、読んでました。
TRAF6は前立腺がんに関わるらしく、セクレターゼ阻害剤は抗癌効果があるかもしれない。
じつはわたしTRAF2に結構感心があったので似たような蛋白TRAF6にも興味津々
ユビキチンライゲースであるTRAF6によりPS1はユビキチン化を受け、TGF受容体Iに近接し、受容体を切断、その細胞内ドメインが核に移行し、Presenilin1の発現が上昇して悪いサイクルがくるくる回り出す、ってストーリーかな。
まぁ私頭が固いのかもしれませんが、TRAF6によるPresenilin1の活性調節のあたりが数時間で発現上昇して活性化型γセクレターゼが増える!という急性な現象だと言う話なのですが、活性化型セクレターゼを作るのに苦労した身としてはなんだかなぁ、信じがたいなぁという感想です。
エンドジナスにほとんど断片化型PS1がないってほんまかいな
まぁ細胞によるのかもしれないけど。
TGF受容体がセクレターゼによって切断されるとか、セクレターゼ阻害剤で抗癌効果とか、いかにもありそうなんだけど、なぜか実験データ見てると、うーん他の現象でも説明できそうなきがする不思議。
ヒトが悪くなったのかなぁ、でもNotch切断でみんな説明できるんじゃないかね?