へのへの先生仮免中

やっぱ教授になるまで仮免中で行きます(なれるのか)、神経系の研究がメインです

え?連休?・粛々とコロニーPCRを・自前でPETプローブを・アンギオテンシン受容体拮抗NEP阻害活性をもつLCZ696の心不全への有効性

学校行く途中にコンビニに寄ったら、ジャンプがうずたかく詰んであって、なんでかなぁってよくよく考えたら、日曜日は休日なのね。
テコを入れようと思って、大分実験を入れたので、今週休みは潰れる予定です。
来週から実習も始まるため、できるだけ進めておきたい。
新しく出たデータは、しみじみなんか色々発展性がある気がするので割とやる気有り。

DNAの確認はVectorを導入した大腸菌を増殖させて調べるのだけど、多量のデータ確認にたいして作業量の割が合わない気がしたので、コローニーPCRを行うことにした
とにかく正確性は気にせずパワフルなPCR酵素を使えばいいとのことで、色々調べた結果、TakaraのEmerald PCR Master Mixを使って見ることにした。
安価なPCR酵素ってのもあったのだけど、実は色素付きでそのまま電子泳動できるってのも、作業量減らす意味では結構良かった。
ただ結果が出なかった組み合わせもあったので、コロニーPCRをやる場合はポジコンをおいたほうが良さそうではある。
他の選択肢ってのは試してないのでなんだけど、業者さんのお話では、よく出てて安価ってのはToyoboのBlend Taqらしい。

さてサイエンスネタ。
アルツハイマー病で起こっている脳内のAβ蓄積、これを可視化する技術というのは診断に大きな力となるわけだけれど、そのプローブを医療機関で合成する装置の記事があった。
これ自体は装置の販売を日立がやるというライセンスのお話で新しいところもないのだけど、なんでそんなものが必要なのか興味があって調べてみた(無知なわけだが)
化合物の合成に関しては、もちろん大量合成で作成したほうが安価に作成できるわけなのだけど、医療用のプローブにつかう放射性同位体半減期が短く、このプローブでつかう18Fの半減期は110分と短い。
そうなるとPET施設で独自に合成し、すぐ使う事が必要になる、ということで、合成装置というのが必要らしい。

自分の中でこんなトコロで何やってんの!って受ける系のネタが有る。
脳内で神経変性疾患に関わってそうな遺伝子が、実は他の臓器で色々な作用をしていたりってのが楽しい。
最近ではAD関連遺伝子(?)BACE2とすい臓の機能って話は意外性があって面白かった、え、もうあんまり最近じゃないじゃん。
さて本日はアミロイドβというタンパク質の分解に関わっているというNeprilysin(NEP)の阻害剤が、今まで使われていたものより有効そうだというNew England journal of medicine(臨床系医学雑誌の四天王の一角?)に載っていたので、へーと思ってちょっと調べてみた。
まぁざっと書くと、心臓機能の悪玉高血圧の源アンギオテンシンを抑える事が、治療戦略の一つであり、アンギオテンシンの前駆体を切断する酵素の阻害剤、ACE阻害剤が治療に用いられる事が多い。
一方でNEPはいくつかの血圧調節に関するタンパク質の阻害に関わる事が知られており、知らなかったけどターゲットの一つであったらしい。
今回使われているLCZ696はNEP阻害効果を持つとともに、アンギオテンシン受容体の拮抗作用もあるらしく、一粒で二度美味しい薬剤ということ。
ノバルティスの開発で、かなり有望視されているらしい。ACE阻害剤より、死亡率が低く抑えられる?
一方で、NEPの亢進によるAβ分解というストラテジで研究をしている人もいるので、さて向きとしては反対に思える。
脳内移行性がなければ、LCZ696による副作用でADになりやすくなるってことは無さそうだけど、さてADの治療戦略としてNEP活性を上げるって(活性を上げるって結構難しいのですが)のは、副作用につながるだろうか?