へのへの先生仮免中

やっぱ教授になるまで仮免中で行きます(なれるのか)、神経系の研究がメインです

4Kはなんの意味?・バイオマーカーをボーッと考える

遺伝子導入試薬にもトレンドはあり、むかしはFugeneなどのRocheが出していた試薬がトップランナーだった

一方、その当時は多分新興だったInvitrogen(元ThermoFisher)のLipofectAmineが、様々な用途への対応を打ち出したのと、まぁそれなりにリーズナブルな価格だったのでLipofectAMINE、特に3000あたりの使用が増えてきたように思う。

RocheはSigmaと組んでXtreamというシリーズを開発しているようだが、FugeneのブランドはなぜかPromegaに移っているというよくわからない状況。

さて、Promegaが新しいTransfection試薬を作る事になって、モニターに応募してみた。

そのなもFugene 4Kである。

www.promega.jp

1ml 85000円

う、うーん安くはないなってところだが、Lipofectamine3000にはプロトコルの面倒くささが有って、ややスクリーニングには向かないところがある。

そしてやりたいのはスクリーニングなのである。

まぁただのうちに試すのはよかろうと思うのだ。

さて何故4kという名前なんだろう、とおもったら、宣伝文句が

「2000よりも3000よりも4K」

ということでL2000やL3000と引っ掛けて4000だからもっとすごいということらしい。

嫌いじゃない、でももう少し安くならないと流行らないんじゃないかなぁ。

まぁつかってみれ、かな。

 

月曜日は先輩の講演を聞いたりしていた。

刺激的で面白かった、まぁ学会に参加しないともう頭がにぶってだめだな、自分が2流からも落ちてるんじゃないかと思う。

僕の業績紹介してくれてありがとうだったが、流れ的にいらないんじゃねとはおもったけど、まぁネタか。

聴いている間に、逆説的にモデルマウスというのはバイオマーカーの同定にはあまり適していないんだろうなとか考えはした。

何が問題なのか一般的な話をするのはまぁ問題ないだろう、少し考えをまとめてみた。

エピジェネティクスの違い

 おそらく外界のストレスはエピジェネに影響する可能性が高いが、いちおうそこに足を突っ込んだ身としては、マウスとヒトはかなり遠いと思わざる得ない。

 いくつか論文や学会発表を思い起こすと、特に炎症系のしぐなるはどうもマウスとヒト(特に高齢の脳)で違うんじゃないかなぁという気がする。

○多因子すぎる

 アルツハイマー病のモデルはかなり特殊だ。下手をすると3つ以上の遺伝子に変異が入っており、また過剰発現ということになる。自然に近いと言われているノックインマウスでも、よく使われるのは2~3の変異がAPPに入っている。

 いまレビューを書いてても思うことだが、これは原因と結果の関係をマスクしやすいやりかたになってしまう。はたしてどの変異がどんなストレスに関連しているといえるだろうか。そのストレスは患者にも実際に起こっているのだろうか。

○病因の違い・状態の均一性の怖さ

 認知症になるストレスの起点は結構様々。アミロイド凝集が多くても病気にならない人もいる。アミロイド仮説に特化したマウスはやや怖いモデルとも言える。

 またこういう言い方をすると怒られそうだが、モデルマウスは均一の条件下で均一のデータが出るような努力である。そこで得られた成果はヒトに還元可能だろうか。

○病態タイムコースの違い

 Aβの蓄積は診断の10年も20年も前から起こっているとは言われている。さて、数ヶ月でたまるAβ構造とモデルマウスのAβ構造はどこまで似ているものだろうか。

 

まぁもちろんそんな所は誰もわかっているところだし、ヒトと照らし合わせて真ならおそらくそれが一番強い札なのもわかる。

結局のところヒトサンプルをもとに探さねばならないのだろうか。

正直単純に血中マーカー探すのはあまりにしんどい、その人は他の病気かもしれない、ざったなヒトの環境を考えると、なんか脳内シグナルをスパッと集める方法を挟むブレークスルーが必要なんじゃないかとは思う。

あとたぶん一因子に落とそうとするとかなり厳しいから、関連するシグナル系の何因子かの検出はめざさないといけないだろう。

いくつかやってみたいことも有ったので、あくまで今後新しいマーカーを見つけるための指針をボーッと考えていく。

具体的なものもいくつかるんだけどまぁ、ざっくりとしたお話。

1つは病態仮説から徹底的に単純なモデルをまず立てるのかなぁとはおもった。

バイアスが入りやすいが、原因と結果の対応が付きやすくはなるはず。単一な毒性に絞っ他モデルにおいてマーカー候補を探し、候補因子の好感度検出系を作り上げて、ヒトに還元

まぁそれでうまくいくなら、もうマーカーはあるのかな。

iPSとかオルガノイドを使えってストレス1ヒットでスクリーニング的なことはやる意味がありそうだけど。

 

もう一つは自分に都合の良い仮説をとにかく立ててみることかもしれない。

こう言うと語弊はあるかもしれないが、シンプルに血中からマーカーが見つかる一番都合の良い脳の状態はあるのかかんがえる。

それが自分の仮説や病態に結びつかないかというのを一休さん的にひねっていく。

都合の良い仮説が正しい場合の前提条件は浮かび上がってくるので、それをテストしていくことになる。

まぁ大体において屁理屈は成り立つ、とにかくやっていく理由と方向性はできる。

仮説があくまであるので、検証可能ではある。

大体100仮説を立てて1つくらいは正しければ万々歳で、人生を無駄にするやり方ともいえるが。