へのへの先生仮免中

やっぱ教授になるまで仮免中で行きます(なれるのか)、神経系の研究がメインです

教育は気長に・易しい入門書募集中(ヘノヘノ文庫をつくるのだ)・ゲノム改変NHEJ阻害により組み換え変異を効率的に・膵臓のNMDA受容体と二型糖尿病・前頭葉型認知症の発症メカニズム?

どうもヒトにものを教えるのは苦手だ、というかコストがかかりすぎている気がする。
自分の機嫌次第で結構あたりが変わってしまうのがやるせない。
ほんとはーだれもがやさしーくなりたいー、そーれでも天使にひとはーなれなーいからー♪
ふ、ふるい。好きなんだけど。
マンツーマンだと矢継ぎ早に質問しがちで弟子も混乱するので、こりゃいかんと思って宿題を出して、答えだけ聞くことにシフトした。
まぁなんか色々言いたいこともあるけど、食らいついてきてるガッツをかいたいと思う。
嫌いじゃないんだよね。
思ったより僕のヘノヘノ文庫(まぁ旧研究室では’本名’文庫と呼ばれていましたが)初心者向きじゃぁ無くて、教えにくいので初心者向きの本を探しています。
ちらっと読んだ感じではこれは面白そうだけど、ちょっと古かった
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なんていうか噛んで含めて説明してあったり、エピソードがらみで面白く読める本がいいですよね。
ミトコンドリアの機能も重要だけど、じゃぁミトコンドリアの機能が落ちると何が起こるのか、病気になるのか、どんな病気なのか?
興味の持てそうな事と並んで書いてあったら楽しく読めるかしら。
評判の良い入門書の第二版がでるらしいので、今後教育に勤しむために買ってみようかと思います。
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自腹・・・まぁ多分手を尽くせば買ってくれそうな気はしますが、そこに至るまでのあまりに面倒くさいやりとりを思うだに、2000円ちょいならだしたるわい、って気分にはなりました。
そんかし俺のもんやでAmazonポチッとな。
まぁね、もう本当につくづく面倒くさい事を面倒くさいやり方で面倒くさく・・・あああ、説明するのも面倒くさい色々やりきれない色々があるんですわー
まぁ面倒くさいと思っているのが私だけじゃなかったんだ、ぱ~(光のさす音)って事もあってちょっと気が楽になりましたわい。

なんかあったっけ、うーむ、まぁないことはないけど、書けんしなぁ。
色々仕上げねばならない書類がたまってヒー。

サイエンスネタ、ううむ。
ああ、そういえばNature biotechnologyにCas9の変異効率を上げるコンパウンドの話が載っておったな。
細胞周期を調節する薬剤と、Cas9の効率のお話をちょっと前にしましたが、また別のメカニズムで効率を上げることが出来ます。
Cas9は簡単に言うと二重鎖で出来ているDNAをぶった切って壊してしまう酵素であり、その二重鎖の修復が完全には起こりにくい性質を利用して変異を導入する方法です。
二重鎖の片割れが切断された場合は、片方を鋳型にして正しい姿に整形することが出来ますが、二重鎖がぶった切られると、何が正しい姿なのか修復機構が見失ってしまいます。
一応その場合も修復機構はあり、無理やり切れた切断点をつなげてしまう、Nonhomologous endjoining(NHEJ)というやりかたと、切断点とホモロジーのある配列(例えば片親の染色体とか)をりようして、リコンビネーションというやり方で、くっつけてしまう場合(Homology-directed-repair: HDR)とあります。
NHEJの場合、切断端はランダムに壊れていくので、くっつき方もランダムになります、これはこれで色々な変異が入って楽しいのですが、ゲノムを思うとおりに改変していることにはなりません。
自分の変異を加えたい配列の左右(比喩的な表現です)に、切断部の左右と相同性の高い領域を組み込んでおくと、HDRが働くと、自分の好きな配列を中に組み込む事ができ、予測できる変異を作り出すことができるため、分子生物学やさんとしては、HDRが進んでほしいわけです。
ところが、まぁ考えるだに、NHEJの方が簡単な機構であり、非常に起こりやすいため、HDR、の効率はとても低いものになってしまっています。
これを改善するために、NHEJが盛んになるDNA増殖期などに細胞周期を合わせて改変をおこなう、というのが、この前紹介したお話でした。
今回のお話は、NHEJを制御する酵素(DNA Ligase IV)の阻害剤SCR7で処理しておくと、修復機構がHDRに傾き、組み換え変異を効率的(19倍)に起こすことが出来ることを、培養細胞、受精卵等使って証明しています。
なるほどなぁ、と思いますた、これは僕絶対思いつかなかったと断言してもいい、人間考えられることの限界はありますな。
もちろんSCR7を買おうかなと思って、コスモ・バイオだったかな、あるのまではわかったんですが、最初在庫有りになってたんですが、見積もりとったら二三週間かかる、といわれて、ああ、出遅れた!とおもったのでした。
だれか論文見た人買ったんじゃないかな。
いろいろ資金が端境期で、3月中納品じゃないと買えないんですよね・・・

個人的に何がウケたのか説明しにくいんだけど、膵臓のNMDA受容体を抑制することによって、二型糖尿病の症状が改善するかもしれない、って記事をほうほう、と読んでました。
中枢のNMDAの機能とかばっかり注目してますから、末梢でそんな機能持ってるのかってのはちょっとおどろき
膵臓のNMDA受容体の機能を抑制することで、膵臓からの糖誘発のインシュリン分泌を促進するそうです。
デキストロメトルファンメジコンという鎮咳薬として使用されている化合物はNMDAアンタゴニスト作用を持ち、T2Dのモデルマウスの糖耐性を改善し、また小規模な全臨床試験でも患者さんの糖耐性を改善したというデータが提示されています。
患者さんの改善は著効ではないですけど、作用点としてなかなか面白いし、市販薬で改善するなら安全性もある程度担保出来るはずなので興味深いです。
中枢ばかりに注目してるけど、神経変性疾患でももっと末梢の神経の影響を見ていかないといけないのかもしれない。
腸内神経でもパーキンソン病の病因因子であるαsynucleinというタンパク質が凝集するということがわかっており、あんまり信じてないけど、腸管神経細胞から放出されたαSynuclein凝集体が神経を伝わり、脳内まで移行して、凝集を亢進するという報告もあった。
へたすると脳だけ切り出して、脳の神経だけに発現させて、表現型でないぜ、うぜーとかのたまってる(のたまってないのたまってない)けど、末梢の機能も考えないといけないとなると、なかなかぴったりなモデル系をたてるのも難しい、という話になるのかな。
まぁとりあえずカルピ○をのませるわ、モデルマウスに。今いないけど。

FTDの病因遺伝子であるCHMP2Bの変異型を神経に発現すると異常にたくさんシナプスが出来るって論文がJCBにのってたなぁ。
まぁショウジョウバエ系であるので、でた表現型は若干割引で見る必要もあるけど、遺伝学的なシグナル経路の同定が可能で、関連遺伝子としてRab8がとれてきていて、Endosomal dysfunctionがどうも起こっているようだ、って点はなかなか興味深かった。
CHMP2BじたいはESCRTとよばれるやはりエンドソームで働く輸送因子であるので、シグナル的にはつながっていくように思える。
芋づる式に見つかった因子もエンドソーム関連遺伝子が多く、この辺の機能障害が神経変性疾患につながるのだなぁと思いました。
シナプスの過剰形成がどう神経変性疾患に関わるのかはわからないけど。