FACEBOOKをみたら、米国の友達がプンプンした記事を投稿してたから、ナンジャラホイと覗いたら、Aβ*56(えーべーた56スター、だっけ)というアミロイドβのオリゴマーの一種のNature論文、およびその関連論文に疑義が提唱されているとか。
下記はScienceの記事
間違った仮説に追いやられるのがポスドクの宿命な所はあるが、失った時間は帰ってこないのも事実、昔は僕もくたばれGSAPと思ったものである。
GSAPのグループも焦点のぼやけた複数の論文出して、かなり論理は破綻していると思うのだが、ポツポツ論文出るよな。
やめやめ、GSAPの話ではない。
引用記事ではアミロイド仮説の名の下、相互の研究の検証が不十分になっているのではないか、という問題提起がある
Aβ*56でそれを言われてもなぁ、とは思わんでもないが、アミロイド仮説の揺らぎとしてエーザイの株価に響いてて、風説は恐ろしい。
まぁただそういう傾向はないではない。
大御所の論文だと、アイデア優先で採用されてないか少し疑ってしまうものもあるのは確か。
ただAβ*56がこの業界で支配的であったような書き方とバズり具合ははどうかなぁと思う。
元々ツッコミどころが多い論文なのだ。
○Aβ*56の再現性が取れて支持しているのはほぼ発見者のGのみである。
○Aββ*56の回収プロトコルが特殊である(やや小保方論文を思い出させる)
○Aβ*56ができるであろう明確な分子基盤が確立されていない
○Aβ*56の類縁体が多すぎる(とても1つだけが毒性として重要とは考えにくい)
これらの理由から、あまり支持しておらず、僕も論文出るまで忘れていた。
一方で、色々なAβ種の一つとしてAβ*56のような分子があるのは否定しにくいのだ。
結局どういう位置取りでその分子種を受け入れるかというスタンスの違いなのかもしれないし
ADの研究論文を読んでいると、~だけが悪い、という悪者が一人いるというスタンスにはだいたいなってしまう。
まぁそれも当たり前で、One of stressesじゃぁなかなかImpactは出ない。
ただ本質的には、色々なストレスの重なりがあるのが確かで、もう少し広い視野で複合的な毒性を捉える必要があるのだろう。
Aβの個々の凝集体ではなく、すべての凝集体、そしてそれを作り出すような前駆体の代謝、これらを包括的に捉え、浅く広く効果のある薬物はできないだろうか。